Manual de túneles de carretera

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1.5. 建設,運用,改良に係るコスト – 資金的側面

1.5.1. はじめに

トンネルは,建設・運用の面から,比較的高価な土木構造物である.プロジェクトの初期段階から,技術的・資金的最適化の可能性に注意しなければならない.

設計初期段階から,以下のプロセスを踏むことが推奨される.

  • トンネルの"機能"の詳細な定義
  • "バリューエンジニアリング分析"の反復プロセス.プロジェクトの全ての戦略的段階において行われるもので,リスク分析における様々な段階に組み込まれなければならない.
  • 設計・施工段階における潜在的なリスクの詳細な分析とモニタリング.これらの潜在的なリスクは,以下に関するものである.
    • 特に地山の複雑さに関する技術的不確実性(地質的・地質工学的不確実性)
    • 交通量予測の不確実性.これは,コンセッション方式によって建設や資金調達をした場合の収益に関して,重大なリスクの構成要素となる.
    • 資金調達環境に関する不確実性とリスク.特に金利や資金調達および借り換えの条件の変化.これは,コンセッション方式あるいはPPPによって建設や資金調達を行った場合において,重大なリスクの構成要素となる.

このプロセスにより,プロジェクト(建設・運用コスト)の最適化や,技術的・資金的リスク管理の改善が,工期と同様に可能となる.

1.5.2. 建設コスト

1.5.2.1. キロ当たりのコストの比率

トンネルの建設コストは非常に変わりやすく,キロ当たりのコストの比率について典型的なものを示すのは不可能である.なぜなら,特に以下の項目によって,大きく変動(平均的には1~5倍)するからである.

  • 地質条件
  • アクセス道路やトンネル坑口に関する難しさ
  • トンネルの地理的な位置:都市部か非都市部か
  • トンネルの長さ:特に,長いトンネルでは換気施設や非常用施設がより重要なウェイトを占める.一方,短いトンネルではアクセス道路や坑口に関する作業がより重要な影響を及ぼす.
  • 車線数や換気施設の規模の決め手となる交通量
  • 交通の性質:特に,危険物積載車両が通行するトンネルは,換気や安全性,恐らく火災に関する構造耐力についても,高価な対策が必要となる.一方,軽車両の通行に限られたトンネルは,車線幅や内空高さ,換気施設を縮減できる可能性があるので,大幅にコスト削減ができる場合がある.
  • トンネルの影響を低減させるための高価な保護対策が必要となる可能性のある,トンネル周辺環境
  • 建設リスクの管理や共有のために行われる対策
  • トンネルが建設される国を取り巻く社会経済的環境.その影響はコストの20%に達する場合がある.

せいぜい,普通のトンネルが平均的な地山条件で建設された場合の平均的なコストが明かり部の等価な構造物の10倍程度であることを示せる程度である.(outside of urban areas).

1.5.2.2. 建設コストの内訳

トンネルの建設コストは3つのタイプのコストに分けることができる.

  • 土木構造物としてのコスト
  • 運用施設のコスト.監視センターや,公共ネットワークからのエネルギー供給を含む
  • その他のコスト:特にプロジェクトを推進するための所有者のコスト - プロジェクトマネジメント,設計と現場監理,測量や地質調査,環境調査および軽減策,用地買収,様々な手続き,等

下記の2つの図は,トンネル建設コストの内訳の例を示したものであり,片方は土木工事の条件が複雑ではない場合,もう一方は土木工事の条件が比較的良くない場合である.図 1.5.1:建設コストの内訳

注:これらの図は土木工事のコストの重要性を示したものであり,右図は土木工事費が約2倍となった場合の結果を示したものである.

1.5.3. 運用コスト

トンネルの運営コストは,3つのタイプのコストに分けることができる.

  • 運用コスト:基本的には人員配置やエネルギー,マネジメント,消耗品といったもの.これらは経常経費である.
  • 維持管理にかかる年間コスト
  • 大規模な改修コストおよび寿命や状態に応じた設備の交換コスト.これらのコストは頻繁に発生するものではなく,設備やその品質,維持管理状況によって異なるが,運用開始から10~12年目ぐらいから発生する.

下記の2つの図は,経済状況が一定だと仮定した場合の,建設コスト(土木工事,運用施設,様々なコスト)と全体的な運用コスト(運用開始から30年分の積算値)を示した例である.

図 1.5.2:30年間のコストの内訳

注:これらの図は,運用と維持管理にかかるコストの重要性と,常時発生する運用および維持管理のコストの最適化を可能にする配慮について,トンネル設計の初期段階から考慮することの必要性について示したものである.

1.5.4. 改修とアップグレードに関するコスト

この章では,新しい基準に準拠した施設のアップグレードに必要な改修やアップグレードに関して記述する.これらの業務は,避難施設,火災に対する構造の耐火性,運用および安全設備,そして新しい安全基準を満足するために必要なすべてのものが対象である.

既設トンネルの多様性,それらの状態,交通量,そして,多かれ少なかれ各国ごとに異なるであろう新安全基準の要求事項の重要性などのために,統計的な価格を提示することは不可能である.

フランスにおいて2000年より観察を行った新基準に準拠するための更新作業のコストは,約1千万ユーロから数十億ユーロの範囲で(20億ユーロを超える予算規模の更新プログラムもいくつか存在していた),予算に大きな変動があることが示されている.

1.5.5. 資金調達に関連する特徴

トンネルは建設時と運用時の両面でコストのかかるインフラ構造物であるが,地域開発,交通の円滑性,快適性,安全性,(山岳部を避けるという)信頼性の高いルートを提供するだけでなく,環境保護の面からもトンネル建設によって得られる経済的効果によって,コストは相殺される.

これらの業務は以下のいずれかによって資金調達がなされている:

  • “伝統的な方式”:公的機関,公共の課税もしくは燃料税などの財源によって実施される資金調達とメンテナンス
  • 民間企業もしくは半公共団体が,定められた契約期間の中でトンネルの建設と運用の役割を担う“コンセッション方式”.この事業体は,建設と運用のコストだけでなく,リスクと金融費用を(しばしば部分的に借款によって)調達する役割を担い,利用者が支払う通行料などによってこれらを相殺する.この種の“コンセッション方式”は,譲渡者の財政的関与もしくは特定の保障(例えば,最低交通量を保障することで,設定最低交通量に達しない時に金銭的補償を行う)を与えられることができる.
  • 以下のものに関連したPPP(官民パートナーシップ)またはその類似方式の"混合方式":
    • 建設のみ,もしくは建設と運用のみ
    • “設計・施工”の場合のような“一括受注契約”方式による建設
    • 部分的または全体の資金調達

現在のマニュアルでは,融資のこれらの各種モードを詳述した,またはそれらのメカニズム,および長所や短所について提示する意図はない.しかしながら,経験に基づいて,初歩的な模式図を与えている,いくつかの主要なガイドラインを提示することは興味深い.

a) 公的機関による資金調達

  • この方式による資金調達は広く採用されている.“コンセッション方式”による資金調達が(通行料徴収から十分な収入が得られないことによって)達成できない,もしくは政治的な理由により通行料の徴収が行われないとき時でも,この方式を用いることで社会基盤計画の開発を進めることが可能となる.
  • しかしながら,この方式では公的機関が資金を確保する財務能力を持っていること,または資金を借りて債務を保持する能力を持っていることが必要となる.財源は基本的に,公共の課税もしくは燃料税,時には部分的に通行料の徴収によって確保している.

b) "コンセッション方式"による資金調達-グローバルな社会基盤の中の一部であるトンネル

“非自立型のトンネル”の資金調達を(譲渡者の財政的関与の有無に関わらず)“コンセッション方式”によって行うことは,通行料を徴収する新規の都市間高速道路の一部であるトンネルの場合では一般的となっている.トンネルにおける(建設および運用の)コストは,トンネルと明かり構造部との間で共有されている.新しい社会基盤が時間短縮や信頼性の向上,快適性そして安全性を確保していれば,単位距離当たりの平均的な通行料が高くても,利用者は受け入れることが経験的に示されている.

c) “コンセッション方式”による資金調達-単独のトンネル 

単独のトンネルでは2つの主要なカテゴリがある.

  • 交通状況の大幅な改善に寄与するトンネル.このケースは,交通量を緩和し,走行時間を低減することを目的とした特定の都市トンネルに該当している.経験的には,次の条件を満たす時にのみ,“コンセッション方式”による資金調達を見込むことができる:
    • 大きな交通量
    • 生活と収入水準の高く,財務バランスを確保するために不可欠な実質的な通行料金の設定が可能な国
    • 比較的高い通行料の見返りとして利用者が受け入れる大幅な時間短縮
    • 少なくとも約50年間のコンセッション期間
  • 大きな自然障害物(山脈や河口)を通過することを目的とする“地域開発型”のトンネル.これら障害物は交易上の重要な障害となっている.初期の交通量は比 較的低い.トンネル建設による新しい接続ルートが交通の発達を可能とする,ただし,こうした発達量を事前に予測することは非常に困難であり,これがコン セッション方式の資金調達の金融リスクにおける本質的なパラメーターとなっている.経験的には,“コンセッション方式”による資金調達が次の条件を満たし たときにのみ現実的なものとなることが示されている:
    • 自然障害物が大きな影響を与え,トンネルが有料であるにも関わらず,既存のすべての交通手段を引き付けるために十分に魅力的であること(時間短縮,サービスレベル,提供されるサービス,接続ルートの信頼性)
    • 財政的支援もしくは建設および工事の一部に対する直接的な関与(例えば,アクセス道路の建設)のどちらかを含むような譲渡者(おそらく出資者)による財政的な関与
    • 最低交通量に達しない時に契約により財政的な支払いを伴う,譲渡者による最低交通量の確保
    • もし,規定された超過制限もしくは条件を契約により規定できれば,主要なリスクを共有するための契約上の取決めにより,リスクに関する財務モデルを設定することができること
    • 非常に長いコンセッション期間の設定:多くの場合70年以上
    • 譲渡者による金融保障,これはコンセッション事業体が金融市場においてより好ましい,金融計画の実行可能性を確保するような,ローン条件によって利益を得ることを可能にする.

d) PPPもしくはその類似方式による資金調達

  • PPP方式が扱う内容は広範囲にわたっているため,ガイドラインを確立することは困難である.
  • この方式による資金調達は,公的機関が長期に渡り出資することを確約する.伝統的な資金調達方式に対して,この方式の資金調達に本当に利点があるかを評価するために詳細な分析が必要になる.実際,開発者が想定するリスクを補償し,(等しい機能と品質を持った)プロジェクトの総括的なコストを増加させるために,この方式による資金調達がかなりの頻度で貢献している.
  • 公的機関は,プロジュクトの進展において重大な誤解および予算超過を招く可能性のある,あらゆるあいまいさを防ぐために,品質,快適性,安全性,サービス水準,耐用年数,利用率,罰則等のトンネルに必要な機能を慎重に決めなければならない.
Reference sources

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