道路トンネルのマニュアル

現在地

8. 機器およびシステム

トンネル長が数百メートル以上となる場合、事故・平常時、どちらの状況においても、道路利用者の安全性を高めるための特定の設備が必要となる。

事故リスクを低減し、かつ、起こりうる結果を最小限に留めるだけでなく、道路利用者への快適性のレベルを十分に維持するため、多種多様な装置が整備されることとなる。 レポート05.06.B”トンネル運用コストの削減”の第7章 では道路トンネル設備について議論し、そして、 レポート2008R15"都市内道路トンネル"の 第3章 は機器の設計と改修の詳細について述べている。

トンネル内に設置された機器に供給するのに必要な電力は多大なものとなる。電力供給システム(電力供給参照)は、通常時および非常時の両方のケースにおいて、十分な電力を供給する必要がある。これは、例え停電になった場合でも、真に必要な設備に対しては最低限の電力を供給する必要があることを意味する。当然、このような設備については、状態監視をする必要がある。このような理由から、SCADAシステム(監視制御およびデータ収集システム(SCADA)参照)が実装されるのが望ましい。

通信および警報システムについて、最初に述べる(コミュニケーションと警報システム参照)。これは、トンネル内の状況を定期的にチェックし、潜在的な危険や事故に関してオペレーターに注意喚起を促すシステムも含まれる。交通の管制と監視システム(交通監視制御システム参照)に加えて、いくつかの検知システムが設置される。検知システムには、自動事象検出、煙/火災検知器が含まれる。また、事故や火災の情報は、押しボタンや非常電話などを通じて、現場の人々から直接届けられることもある。非常電話は、トンネル内の道路利用者と管制室員との間で、直接情報のやり取りをすることが可能である。非常電話設備は、管制室員にとって現場状況、人々の状態などの付加的な情報を得ることができるだけでなく、トンネル内の人々に注意情報を提供するためにも有効である。このような設備には、トンネル内の道路利用者に警告を促したり、介入を調整するためのシステムも含まれる。拡声放送や公共FM放送のラジオ再放送、管理用無線および緊急隊用の周波数帯は、これらの目的のために使用することができる。

道路利用者への快適性の確保と事故リスク低減のため、十分な視認性の確保および粉塵濃度の低減を図ることが重要である。適切な照明設備(照明参照)と換気システム(換気参照)が不可欠である。換気設備は、火災の延焼と煙の拡散に影響を与えるため、緊急事態発生時に必要不可欠である。交通量とトンネル延長に応じ、換気設備は、自然、機械、または、組み合わせ(通常状態では自然、非常時は機械など)がある。リスク管理の追加機能として、標識設備がある(標識参照)。これは障害物や危険性の周知のみならず、非常口、非常押しボタン、消火設備等を見つけるために重要である。

事故の場合、火災を消火するための設備が必要となる。これらは、トンネル内の道路利用者および緊急隊にとって必要な消火設備(道路利用者と緊急チームのための消火設備参照)や自動制御される固定消火システム(固定消火システム参照)が含まれる。このような状況の場合、遮断設備(遮断機参照)は、トンネル外の道路利用者がトンネル内に進入することを防ぐため重要な設備である。

貢献者

本章はC4委員会(2008-2011)のワーキンググループ1およびグループ4により記述された。

  • Antonio Valente (Italy) 本章のコーディネイト
  • Jean-Claude Martin (France) 8.0, 8.1及び8.2節執筆
  • Arthur Kabuya (WG4 : Belgium) 8.3.4自動事象検出、8.3.5火災/煙検知器(火災及び煙検知器の目的)を執筆。上記を除く8.3節は、Arthur Kabuya (WG4 : Belgium)と Jean-Claude Martin (France) により共著。
  • Jean-Claude MARTIN (France) 8.4節執筆
  • Antoine Mos (WG4 : France)  8.5節(換気)執筆
  • Art Bendelius (WG4 : USA), 8.6節(消火設備)執筆
  • Arnold Dix (WG4 : Australia) と Fathi Tarada (WG4 : UK) 8.7節(消火システム)共著
  • Jean-Claude MARTIN (France) 8.8,8.9,8.10節執筆
  • Fathi Tarada (UK) と Ignacio del Rey (Spain) WG4執筆箇所のコーディネイトと校閲
  • Jean-Claude MARTIN (France) WG1執筆箇所のコーディネイトと校閲
  • Fathi Tarada (UK) 英語バージョンの校閲

日本語版は,古澤博文(首都高速道路(株)),市川敦史(東日本高速道路(株))が翻訳,真下英人(国土技術政策総合研究所)が校閲,日下敦((国研)土木研究所)が変換作業を担当した.

Reference sources
  •