道路トンネルのマニュアル

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8.5. 換気

トンネル内の換気には2つの機能がある。

歴史的に、トンネル換気システムを設置するための第一の理由は、汚染レベルの減少であった。 交通車両による汚染物質の排出量は過去数十年にわたって劇的に減少してきているが、この機能は依然として重要であり、設計段階で細心の注意を払わなければならない。 いくつかのケースでは、走行する車両のピストン効果による自然換気により、通常運用における空気の質の要件を満たすことがある。 機械による換気システムの必要性は、トンネルの長さと道路種別(対面通行または一方通行)と条件(渋滞の可能性)を考慮して評価される: 技術レポート2004 05.14.B:道路トンネル:車両の排出量と換気のための空気の要求 を参照のこと。 本レポートは、まもなく出版される新しいレポートに置き換えられる予定である。

同様の要因が、緊急時、特に火災時の換気要件を決定する。他の機器や設備の存在(例えば非常口)も考慮する必要がある。いくつかのケースでは自然換気で十分な場合があるかもしれないが、数百メートルを越えるような長さのトンネルでは、しばしば機械換気が必要とされる。

トンネルでは、異なった換気方式が使用されることがある。 その選択は、一般的に火災時の安全性を考慮することによって必然的に導かれ、通常運用時のシステムの使用は、それに合わせて調整される。 レポート05.05.B 1999の第Ⅴ章"火災と煙制御のための換気"を参照のこと。

縦流方式は、火災に伴い燃焼車両で発生した煙のすべてを片方向に押すために、トンネルの長手方向の空気の流れを生成することである。 もし道路利用者が、煙が流れてくる下流側に存在する場合、有毒ガスと視認性の低下といった影響を受ける可能性があるので、対面通行および(​​または)渋滞したトンネルでこの手法を使用するときは多大な注意が必要である。 適切な煙制御のための最低風速は、設計上の火災規模とトンネルの形状(勾配、断面積)に因る。

横流方式は、火災時に発生する煙の遡上を利用する。煙は、トンネル空間の上部に蓄積する傾向があることから、煙は上部から機械的に排出されることができる。トンネル断面の下の部分に新鮮な空気の層を維持する(視認性、低毒性)ことにより自主避難を可能とするよう、システムは設計されている。 従って、煙の非成層化と過度に長手方向への広がりを避けるため、火災範囲での可能な限り低い縦流風を維持することが重要である。 この戦略はどのトンネルにも適用可能であるが、システムの設計、施工、運用はより難易度が高く、また、高価である。

換気の設計プロセスは、推力及び(または)流量に関する最小許容容量の計算、換気のネットワーク、および、適切な換気装置の選択といったものを含んでいる。レポート2006 05.16.Bの第4章:換気 、並び、その付録 12.3"ジェットファンの計算手順"12.4. "煙ダンパー" および 12.6."ジェットファンの音への影響" を参照のこと。 換気設備は、火災や騒音性能に対する耐性を含め、多数の仕様を満たす必要がある。

想定される火災状況の各々に適する換気制御シナリオの設計は、プロセスの非常に重要な部分である。技術レポート2011 R02:道路トンネル:換気のための運用戦略 参照のこと。これらのシナリオは、縦流換気方式の戦略が適用されている場合は特に、単純化できる。そうでない場合は、横流換気式トンネルのように、非常に多数の計測器と換気設備を複合して取り込むこととなる。通常運用時における換気制御の最適化を図るためには、エネルギー消費を縮減することが重要である。この消費量は、トンネルの運用コストのかなりの部分を占めているので、非常に重要な課題である。

トンネルの他の要素と、換気システム設計の相互関係は多種多様である。 横流換気の場合、例えば、必要とされる換気量は掘削断面に影響を与えるかもしれないことから、建設コストに重要な影響を与える。換気システムはまた、トンネルの電力供給要件の大部分を占めている。換気システムは、火災検知、消火システムなどの他の安全設備と緊密に連携している: レポート2008 R07の第5章 "トンネル安全システムと関連する固定消火システム"参照のこと。

環境問題は換気に関連する事項である。加えて換気電力消費量と炭素の周囲への影響は、トンネル坑口や換気塔からの局所的な高濃度に汚染された空気の排出に関連している。トンネルの周囲に与える影響を減らすことは良い環境デザインの一部である:レポート2008 R04の4.3節"トンネルの空気の分散技術"4.6節"運用面" および 付録D."換気システム設計における分散モデルの概要"参照のこと。

最後に、トンネルの主要部分である交通空間のほかに、換気、特に非常口が必要になることがある: レポート05.16.B 2006の5.3節"避難通路設計"参照のこと。

Reference sources

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