道路トンネルのマニュアル

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8.7. 固定消火システム

技術レポート2008 R07"道路トンネル:固定消火システムの評価" は、固定消火システム(Fixed Fire Fighting Systems:FFFS)に関する世界道路協会の見解と、その適用、選択および運用に関連する提言をまとめている。

急速に拡がる火と煙は、道路利用者の自己避難の能力を急速に損なう可能性がある。一方、急速に上昇する温度により、トンネルの維持が困難になり、かつ、安全システムを破壊する可能性がある。FFFSは火災の拡大および拡散する割合を減少させる潜在力があることから、結果として、火災時の自己避難および救助支援局面における道路利用者と緊急隊の安全を支援できる。FFFSが保有する他の潜在的な利点は、火災による損傷からトンネル構造を保護し、かつ、火災事故後のトンネル補修に伴う一時的な道路ネットワークの遮断を回避もしくは軽減できることである。

FFFSの設置に関し、国がトンネル設計ガイドラインで規定している場合を除き、設置可否の意思決定支援として、以下の手順を推奨する。

  • 実施可能性調査
  • 欧州指針2004/54/EC に記載されているようなリスク分析
  • 費用便益分析

FFFSは、換気設備のような他の重要な安全システムとの関連性の中で考慮されなければならない。迅速かつ正確な事象検出とFFFSによる対応は、FFFSが保有する最大限の性能を発揮するために不可欠な要素である。 FFFSの運用性能は、維持管理、試験および訓練のための適切な体制を含め、システムエンジニアリングのアプローチを通じて評価することができる。本システムによる効果については、運用手順および維持費用も含めて慎重に検討する必要がある。

水噴霧システムは、トンネルに設置されているFFFSの中で、現状、群を抜いて最も一般的に設置されている装置である。低圧および高圧の両システムが利用されており、高圧システムは、より小さい径の水滴となる。泡消火システムを含む他の水関係システムもトンネル内に設置されている。適切なFFFSの選択は、費用便益分析に基づいていることが望ましい。

トンネルFFFSが一般的に使用されている国もあるが、世界的な道路トンネルの標準というよりは、むしろ、例外的である。このようなシステムは、火災の拡大および拡散する割合を減少させることができる一方、最適な方法でシステムが機能することを確実にするための、高い維持管理レベルおよび運用監視レベルが同様に要求される。

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