道路トンネルのマニュアル

現在地

2.5. 火災安全のための基本原則と手段

道路トンネルにおいて想定されるリスクが多くある中で、自動車火災は稀ではなく、適切な対処がなされないと明かり部の火災と比べトンネル内火災がもたらす影響は多大であることから、特に注目されるものである。このような理由から、いくつかのPIARC報告書は道路トンネル火災の安全の問題を取り扱っている。

トンネル特性の詳細に関連するこれらレポートに含まれる情報の一部は、このマニュアルの関連する章に記載されている。

しかしながら、火災安全対策が一般原則に基づいて定義される前に、トンネル火災の基本情報と研究手法は利用可能である必要がある。これらは、この節で取り扱われている。

上記一般原則で記載された道路トンネルの安全目標に基づき、火災と煙制御に次のさらに明確な目的が提案されている。

  • 道路利用者の自己避難により人命を救うことを可能とすること
  • 救助や消火活動を可能とすること
  • 爆発を防ぐこと
  • トンネル本体及び設備、また周辺の関連建物への損傷を限定すること

これらの目的は、レポート05.05BのⅠ節“火災と煙制御の目的”で説明されており、火災状況下における制御継続性の基準に関する詳細な議論も含まれている。また、補足的な手引きについては、レポート05.16Bの2節“トンネル火災の安全概念”に含まれている。

リスク評価し基本設計に必要なデータを提供することを手助けするために、火災の頻度に関する情報と火災想定シナリオがレポート05.05BのⅡ節“火災リスクと火災想定”で提供されている。人命安全を考慮した火災想定は一般に一定若しくは時間とともに変化する自動車タイプ(例えば1台または複数の乗用車もしくは大型貨物トラック)により想定される放熱率や積載荷物量により定義される。火災想定の選択の手引きはPIARCレポート“道路トンネル火災想定の特性”で入手可能である。

トンネル火災時の煙の挙動を理解することは、トンネル設計時および運用の段階においても重要である。この理解により、換気設備の方式や規模、非常時の換気運転並びに火災時におけるオペレーターや緊急隊の安全な対応を構築につながる対応手順を左右することになる。このトピックスに関する詳細な議論は、レポート05.05BのⅢ節“煙の挙動”と火災進行時における異なるパラメーター(交通、火災規模、換気条件、トンネル形状)の影響に関する詳細分析レポート05.16Bの1節“火災初期段階における煙と放熱進行の基本原理”で行われている。

科学者、設計者を支援する、トンネル火災安全研究に利用可能な基本(実物および小規模模型実験結果)及び高度(コンピュータシミュレーション)技術に関する包括的記述はレポート05.05BのⅣ節“研究手法”で確認できる。

Reference sources

No reference sources found.